第2回アートオープンデータシンポジウム レポート
10月6日(土)に能美市の九谷焼資料館で、第2回アートオープンデータシンポジウムが開催されました。
本イベントは、日本のアート x オープンデータの未来について考えることを目的としており、講演とパネルディスカッションがおこなわれました。
【講演】
講師として、以下の3名の方を迎え、それぞれの図書館におけるオープンデータの取り組みについてお話しいただきました。
・奥田 倫子(おくだ ともこ)〜国立国会図書館のオープンデータ〜
・外丸 須美乃(とまる すみの)〜大阪市立図書館オープンデータの取り組み〜
・鷲澤 淑子(わしざわ としこ)〜公共図書館所蔵資料デジタル化の意義を考える〜
取り組み | 活用例 | 利活用推進 | 今後 | |
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国立国会図書館 | ・デジタルコレクション | ・切手
・TV |
・LOD, UDCへの参加
・イベントを主催 |
ジャパンサーチを一般公開 |
大阪市立図書館 | ・デジタルアーカイブ
・地域情報化アドバイザー派遣制度の利用 |
活用事例 | ・Code for OSAKA定例会への参加
・SNSでの発信 |
システム機種更新 |
石川県立図書館 | 貴重資料ギャラリー | − | − | オープンデータ化 |
【参考】
専門図書館協議会, [雑誌]専門図書館, 286号, 2017年11月
(大阪市立図書館デジタルアーカイブについてオープンデータ化への取り組み, 外丸 須美乃)
【パネルディスカッション】
上記3名の講師の方に加え、九谷焼資料館の中矢 進一 館長を迎えパネルディスカッションを行いました。弊社代表の福島も進行役として参加いたしました。
(福島)どうやって、オープンデータの利活用を進めていますか?
(奥田)お金をかけてデジタル化したものは使われなくてはいけないと思うので、まずはデジタル化に携わる職員から広げて、図書館のメインの仕事にしていければと。NDLラボでも様々な取り組みをしているんですけど、ボランティアやオープンデータに関わる人に支えられているところが大きいですね。他には、LODやUDCへの取り組みも利活用につながっていると思います。
(外丸)いかに市民に知ってもらうか、使ってもらうか。スマッシュヒットはいつ来るか分からないので、オープンデータを出し続けることが大切です。起業家とコラボしたり、Code for Osakaの定例会に参加したりして、利活用を促進しています。
(福島)周りの人は、ヒットを待ってくれているのですか?
(奥田)海外の国では進んでいるんだと伝えて、成果を出していく。
(外丸)オープンデータをきっかけとして、図書館の他のサービスにつなげていく。
(福島)能美市はなぜアートオープンデータに積極的なのですか?
(中矢)もともと博物館の学芸員でして、作品の写真が劣化してダメになっていくなと感じた。その危機感から、アナログのものをデジタルにして後世に伝えていこうと。ただ、学芸員は色々な仕事があって忙しい。デジタル化ができてホッとするんだけど、利活用まで進める余力はないことが多い。だからマシロの北野さんやアイパブリッシングの福島さんと一緒に取り組んできたように、利活用をさらに進めるには民間と公共とのコラボが必要。
(鷲澤)石川県立図書館のオープンデータの取り組みはこれからです。
(福島)石川県立図書館では、一緒に取り組む人材はいますか?
(鷲澤)みんな忙しいのですが、他の仕事もやりつつオープンデータ化を進めていきたいと思います。雰囲気や体制も重要です。
(福島)確かにみなさん他の仕事を抱えながら、取り組んでいます。オープンデータの業務は優先順位が低い場合が多いですね。
(福島)利活用を進めていく秘訣はありますか?
(奥田)利用者は私たちが思うようには動かない。だから、まず私たちがイベントを開いて、作品をつくる達成感を味わってもらっています。オープンデータは利用状況が分からないので、データを使ったら教えてくれると嬉しいですね。そうすれば、次のイベントが開きやすくなリます。
(外丸)地域の人との関わりを重要視しています。学校であったり、Code for Osakaであったり。日々の積み重ねが利活用の推進につながるのかなと。
(中矢)展示を生かして、興味を持ってもらう仕組みを作っている。
(外丸)大阪市立図書館では「Webギャラリー」を公開していて、インターネット上でテーマ展示をしています。オープンデータを知る入り口になるし、関心がある人は深堀りしたいと思うはず。
(奥田)国立国会図書館でも「電子展示会」を公開していますね。しかし1つ問題があって、オープンデータをテーマでまとめると、編集物としての著作権が発生してしまうんです。電子展示会丸ごとのオープンデータを実現できればいいなと思います。